検索結果詳細


 『若菜上(明融臨模本)

 「いとあやしき梵字とかいふやうなる跡にはべめれど、御覧じとどむべき節もや混じりはべるとてなむ。今はとて別れはべりにしかど、なほこそ、あはれは残りはべるものなりけれ」
 とて、さまよくうち泣きたまふ。寄りたまひて、
 「いとかしこく、なほほれぼれしからずこそあるべけれ。手なども、すべて何ごとも、わざと有職にしつべかりける人の、ただこの世経る方の心おきてこそ少なかりけれ。

 723/887 724/887 725/887

  第十二章 明石の物語 一族の宿世  [第五段 源氏の感想]

  [Index]