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 『明石(大島本)

 と、げに、そこはかとなく書き乱りたまへるしもぞ、いと見まほしき側目なるを、「いとこよなき御心ざしのほど」と、人びと見たてまつる。
 おのおの、故郷に心細げなる言伝てすべかめり。
 を止みなかりし空のけしき、名残なく澄みわたりて、漁する海人ども誇らしげなり。須磨はいと心細く、海人の岩屋もまれなりしを、人しげき厭ひはしたまひしかど、ここはまた、さまことにあはれなること多くて、よろづに思し慰まる。

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  第二章 明石の君の物語 明石での新生活の物語  [第二段 京への手紙]

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