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『明石(大島本)』
二条院よりぞ、あながちにあやしき姿にて、そほち参れる。道かひにてだに、人か何ぞとだに御覧じわくべくもあらず、まづ追い払ひつべき賤の男の、むつましうあはれに思さるるも、我ながらかたじけなく、屈しにける心のほど思ひ知らる。御文に、
「あさましくを止みなきころのけしきに、いとど空さへ閉づる心地して、眺めやる方なくなむ。
浦風やいかに吹くらむ思ひやる
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第一章 光る源氏の物語 須磨の嵐と神の導きの物語
[第一段 須磨の嵐続く]
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