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 『御法(大島本)

 「かく何ごともまだ変らぬけしきながら、限りのさまはしるかりけるこそ」
 とて、御袖を顔におしあてたまへるほど、大将の君も、涙にくれて、目も見えたまはぬを、しひてしぼり開けて見たてまつるに、なかなか飽かず悲しきことたぐひなきに、まことに心惑ひもしぬべし。御髪のただうちやられたまへるほど、こちたくけうらにて、露ばかり乱れたるけしきもなう、つやつやとうつくしげなるさまぞ限りなき。

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  第二章 紫の上の物語 紫の上の死と葬儀  [第四段 夕霧、紫の上の死に顔を見る]

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