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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 とかごとがましい口ぶりだったが、柔和な顔に顰みも見えず、温順に莞爾して、
 「御新造様がおありなさりますれば、御坊様にも一かさね、子産石《こうみいし》を進ぜましょうに……」
 「飛《とん》でもない。この団子でも石になれば、それで村方勧化でもしようけれど、生憎三界に家なしです。

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