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『龍潭譚』
青空文庫
「ぢつとしておいで、あんばいがわるいのだから、落着いて、ね、気をしづめるのだよ、可いかい。」
われはさからはで、ただ眼をもて答へぬ。
「どれ。」といひて立つたる折、のしのしと道芝を踏む音して、つづれをまとうたる老夫《おやじ》の、顔の色いと赤きが縁近う入り来つ。
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