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 『龍潭譚』 青空文庫

 われはさからはで、ただ眼をもて答へぬ。
 「どれ。」といひて立つたる折、のしのしと道芝を踏む音して、つづれをまとうたる老夫《おやじ》の、顔の色いときが縁近う入り来つ。
 「はい、これはお児さまがござらつせえたの、可愛いお児じや、お前様も嬉しかろ。ははは、どりや、またいつものを頂きましよか。」

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