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 『五大力』 従吾所好

「否、材木屋の主人が手を支いて頼むんです。霞は固より、昨夜も今日も離しますもんですか。寝て居る所を、そつと外すと、アツと言つて刎起きる、手足を傍で押へました。見て居ると、活きながら顔の皮を切離すより残酷なんです。
 最う、面が手に入つてからは、自分の顔がもとの通りに治つたと思ふかして、しいでせう、しいでせう――と嬉々して、同一気が違つて居ても、然して不断とかはりがなく、嬉しさうに活きて居るのが、せめてもの心遣りだと、傍のものが皆言ふんです。」

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