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 『五大力』 従吾所好

 最う、面が手に入つてからは、自分の顔がもとの通りに治つたと思ふかして、美しいでせう、美しいでせう――と嬉々して、同一気が違つて居ても、然して不断とかはりがなく、嬉しさうに活きて居るのが、せめてもの心遣りだと、傍のものが皆言ふんです。」
「むゝ、寝ても小町、覚めても浮草、面を離さぬ手も震ふか。」
 と衝と引いたる片袖は、最明寺殿を麾〈さしまね〉く、佐野のわたりの趣あり。雪もちら/\と袂が揺添ふ。

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