検索結果詳細
『日本橋』 青空文庫
この毛むくじゃらを、稲葉家の縁起棚の傍で見た事があるというだけ、その血相と、意気込みで、様子を悟って、爺さんは、やがて、押くり返し何と言われても、行った先を饒舌らなかった事は言うまでもない。
「御自分、ついて行って見なさりゃ可かった。」
何か知らぬが、お千世が世話になる稲葉家に退かぬ中の男、と思うだけ、虫を堪えて飽くまで下手に出た爺さんも、余りの押問答、悪執拗さに、こう言って焦れたほどである。
1033/2195
1034/2195
1035/2195
[Index]