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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

   「天井裏でうわさべいされちゃ堪んねえだ。」
 と声を密《ひそ》めたが、宰八は直ぐ高調子、
 「いんね、私《わし》一人じゃござりましねえ。喜十郎様が許の仁右衛門の苦虫と、学校の先生ちゅが、同士にはい、門前まで来っけえがの。

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