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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
と声を密《ひそ》めたが、宰八は直ぐ高調子、
「いんね、私《わし》一人じゃ
ござ
りましねえ。喜十郎様が許の仁右衛門の苦虫と、学校の先生ちゅが、同士にはい、門前まで来っけえがの。
あの、樹の下の、暗《くれ》え中へ頭突込んだと思わっせえまし、お前様《めえさま》、苦虫の親仁が年効《としがい》もねえ、新造子《しんぞっこ》が抱着かれたように、キャアというだ。」
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