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『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
磯浜へ上って来て、巌《いわ》の根松の日蔭に集《あつま》り、ビイル、煎餅《せんべい》の飲食《のみくい》するのは、羨《うらやま》しくも何ともないでしゅ。娘の白い頤《あご》の少しばかり動くのを、甘味《うま》そうに、屏風巌《びょうぶいわ》に附着《くッつ》いて見ているうちに、運転手の奴が、その巌の端へ来て立って、沖を眺めて、腰に手をつけ、気取って反《そ》るでしゅ。見つけられまい、と背後《うしろ》をすり抜ける出合がしら、錠の浜というほど狭い砂浜、娘等四人が揃って立つでしゅから、ひょいと岨路《そばみち》へ飛ぼうとする処を、
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