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 『五大力』 従吾所好

 就中〈なかにも〉、新海孫六兵衛が七十五歳の端麗さよ。
 驚かれたのは其のみならず、見物の釣船弥矢衛門。此の爺様、肩に掛けて、風呂敷づつみ持参なり。平時〈いつも〉は経師屋が内職ゆゑ、孫六が予て註文の狸の表装出来〈しゆつたい〉か、と思ふと違つた。……麻上下の紋着である。――これは臆病口へ、すいと廻る。

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