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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 芸妓の化ものが、山賊にかはつたのである。
 寝る時には、厚衾に、此の熊の皮が上へ被つて、袖を包み、蔽い、裙を包んだのも面い。あくる日、雪に成らうとてか、夜嵐の、じんと身に浸むのも、木曽川の瀬の凄いのも、ものゝ数ともせず、酒の血と、獣の皮とで、ほか/\して三階にぐつすり寐込んだ。

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