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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
あんぺら帽子を阿弥陀かぶり、縞の襯衣《しゃつ》の大膚脱、赤い団扇を帯にさして、手甲、甲掛厳重に、荷をかついで続くは亭主。
店から呼んだ姥の声に、女房が一寸会釈する時、束髪《たばねがみ》の鬢が戦いで、前を急ぐか、そのまま通る。
前帯をしゃんとした細腰を、廂にぶらさがるようにして、綻びた脇の下から、狂人《きちがい》の嘉吉は、きょろりと一目。
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