検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

 霞は褄を投げて、〓〈どう〉と成つて、はじめて、夢の覚めたる如く、うろ/\と四辺を〓〈みまは〉す。
 其の手を静に取つて、孫六、
「祝着千万、大恩人よ、お女中。舞台に立つて、小町の如く美しかれと念ずる時、お許が目に、私の素面が汚れた爺と見えようほどなら、生効もない老耄〈おいぼれ〉だ。這個〈しや〉、皺腹掻切らうと思うたに、此ならばまだ飲める。正気に返られた祝儀には、やがてお酌一つ頼みます。」

 1113/1139 1114/1139 1115/1139


  [Index]