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 『五大力』 従吾所好

「祝着千万、大恩人よ、お女中。舞台に立つて、小町の如く美しかれと念ずる時、お許が目に、私の素面が汚れた爺と見えようほどなら、生効もない老耄〈おいぼれ〉だ。這個〈しや〉、皺腹掻切らうと思うたに、此ならばまだ飲める。正気に返られた祝儀には、やがてお酌一つ頼みます。」
 と莞爾したが、疲れた体に、よろ/\と葛桶。矢右衛門船を乗り放つて、
「然ればこそ言はれぬ差出業をして、つひに覚えぬ大汗を掻きました。相かはらず若旦那、これならば五百八十年、七廻りでござる。」

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