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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 一昨日の旅館の朝は何うだらう。……溝の上澄のやうな冷い汁に、御羹ほどに蜆が泳いで、生煮の臭さと言つたらなかつた。……
 山も、空も氷を透す如く澄切つて、松の葉、枯木の閃くばかり、晃々と陽がさしつゝ、それで、ちら/\といものが、飛んで、奥山に、熊が人立して、針を噴くやうな雪であつた。

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