検索結果詳細
『日本橋』 青空文庫
飯は済んだ、と云うのは、上野から電車で此地へ来る前に、朋達三人で、あの辺の西洋料理で夕飯を食べた。そこで飲んでね、もう大分酔っていたんです。可訝くふらふらするくらい。その勢で、かッとなる目の颯と赤い中へ、稲妻と見たサの字なんだ。
考えれば、千鳥の知らせでもなく、恋の神のおつげでもない。酒のサの字だったかも知れないものを。……その酒さえ、弱身のある人が来て対向いになると、臆面の無いほてった顔を、一皮|剥かれるように醒めるんだからの。お察しものです。」
1123/2195
1124/2195
1125/2195
[Index]