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『婦系図』 青空文庫
あれは掏摸《すり》の術《て》でございます。はじめに恐入っていた様子じゃ、確に業《わざ》をしたに違いませんが、もう電車を下りますまでには同類の袂《たもと》へすっこかしにして、証拠が無いから逆捻《さかね》じを遣るでございます、と小商人《こあきんど》風の一分別ありそうなのがその同伴《つれ》らしい前垂掛《まえだれかけ》に云うと、こちらでは法然天窓《ほうねんあたま》の隠居様が、七度《ななたび》捜して人を疑えじゃ、滅多な事は謂われんもので、のう。
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