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 『五大力』 従吾所好

 死んだか、活きたか、音信の知れない、昔のひとが可懐しさに、ばかの目刺の名物を仕入れに来た半間な面で、山の手から電車に積まれて。えつちら、おつちら、……枯蘆の空へ、白い太陽〈ひ〉の出た深川を、(それ、千鳥だよ、)と功労経た雀に小馬鹿にして飛ばれながら、ぶら/\歩行〈ある〉いて居た私に、又、そんな大事なものを持たせて返すつて云ふがあるもんか。」
 ともの云ひも突放して、……下駄の片足、露店御法度の大道火鉢、化けさうなのに踏掛けた。……客は此の時、松も一所に、帆木綿の薄汚れた茶飯屋の囲の中、狭い縁台に御無心で居たのである。

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