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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 地《つち》が急に柔かく、ほんのりと暖かに、ふっくりと綿を踏んで、下へ沈みそうな心持。他愛なく膝節の崩れるのに驚いて、足を見る、と白粉の花の上。
 と思ったがそれは遠い。このふっくりしたいものは、南無三宝仰向けに倒れた女の胸、膨らむ乳房の真中あたり、鳩尾《みずおち》を、土足で踏んでいようでないか。

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