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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
恐しさ、怪しさより、勿体なさに、慌てて踏んでいる足を除《ど》けると、我知らず、片足が、またぐッと乗る。
うむ、と呻かれて、ハッと開くと、旧《もと》の足で踏みかける。顛倒して慌てるほど、身体《からだ》のおしに重みがかかる、とその度に、ぐ、ぐ、と泣いて、口から垂々《だらだら》と血を吐くのが、咽喉《のど》に懸り、胸を染め、乳《ち》の下を颯と流れて、仁右衛門の蹠《あしのうら》に生暖《なまあたたこ》う垂れかかる。
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