検索結果詳細


 wx




 『化鳥』 青空文庫

初卯《はつう》の日、様《おつかさん》が腰元《こしもと》を二人連れて、市の卯辰《うたつ》の方の天神様《てんじんさま》へお参《まゐ》ンなすつて、晩方《ばんがた》帰つて居らつしやつた、ちやうど川向《かはむか》ふの、いま猿の居る処で、堤坊《どて》の上のあの柳の切株に腰をかけて猿のひかへ綱《づな》を握《にぎ》つたなり、俯向《うつむ》いて、小さくなつて、肩で呼吸《いき》をして居たのが其猿廻《さるまはし》のぢいさんであつた。

 120/ 121/


  [Index]