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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 蝉の鳴く音を貫いて、誰も通らぬ四辺《あたり》に響いた。
 隙《すか》さず、這般《この》不気味な和郎《わろ》を、女房から押隔てて、荷を真中へ振込むと、流眄《しりめ》に一睨み、直ぐ、急足《いそぎあし》になるあとから、和郎は、のそのそ――大な影を引いて続く。

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