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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 掻巻を引被《ひっかぶ》れば、衾の袖から襟かけて、大《おおき》な洞穴のように覚えて、足を曳いて、何やらずるずると引入れそうで不安に堪えぬ。
 すぽりと脱いで、坊主天窓《ぼうずあたま》をぬいと出したが、これはまた、ばあ、といってニタリと笑いそうで、自分のながら気味の悪さ。
 そこで屹となって、襟を合せて、枕を仕かえて、気を沈めて、

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