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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と仰向けのまま呪すと、いくらか心が静まったと見えて、旅僧はつい、うとうととしたかと思うと、ぽたり、と何か枕許へ来たのがある。
 が、雨垂《あまだれ》とも、を吸《すい》膨れた蚊が一ツ倒れた音とも、まだ聞定めないで現でいると、またぽたり……やがて、ぽたぽたと落ちたるが、今度は確《たしか》に頬にかかった。

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