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『日本橋』
青空文庫
「忘れもしない、ずっと以前――今夜で言えば昨夜だね――
雛
の節句に大雪の降った事がある。その日、両国向うの得客先へ配達する品があって、それは一番後廻、途中方々へ届けながら箱車を曳いて、草鞋穿で、小僧で廻った。日が暮れたんです。両国の橋を引返した時の寒さったら、骨まで透って、今思出しても震えちまう。
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