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『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
「――その話の人たちを見ようと思う、翁、里人の深切に、すきな柳を欄干さきへ植えてたもったは嬉しいが、町の桂井館は葉のしげりで隠れて見えぬ。――広前の、そちらへ、参ろう。」
はらりと、やや蓮葉《はすは》に白脛《しらはぎ》のこぼるるさえ、道きよめの雪の影を散らして、膚《はだ》を守護する位が備わり、包ましやかなお面《おもて》より、一層世の塵《ちり》に遠ざかって、好色の河童の痴《たわ》けた目にも、女の肉とは映るまい。
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