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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 四辺《あたり》を見ると、この人目覚めぬも道理こそ。雨の雫の、糸の如く乱れかかるのは、我が身体《からだ》ばかりで、明の床には、夜をあさる蚤もおらぬ。
 南無三宝、物の唾《つば》じゃ。


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