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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 とまた念じて、静《じっ》と心を沈めると、この功徳か、蚊の声がなくなって、寂《しん》として静まり返る。
 また余りの静《しずか》さに、自分の身体《からだ》が消えてしまいはせぬか、という懸念がし出して、押瞑《おしつぶ》った目を夢から覚めたように恍惚《うっとり》と、しかも円《つぶら》に開けて、真直《まっすぐ》な燈心を視透かした時であった。

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