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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
飜然《ひらり》と映って、行燈へ、中から透いて影がさしたのを、女の手ほどの大《おおき》な蜘蛛、と咄嗟に首を縮《すく》めたが、あらず、非ず、柱に触って、やがて油壺の前へこぼれたのは、木の葉であった、青楓の。
僧は思わず手で拾った。がその正しく木の葉であるや、然らずや、確《たしか》めようとしたのか、どうか、それは渠にも分りはせぬ。
ト続いて、颯と影がさして、横繁吹《よこしぶき》に乗ったようにさらりと落ちる。
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