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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
「あれ、あの大崩壊《おおくずれ》の崖の前途《むこう》へ、皆が見えなくなりました。
丁ど、あれを出ました、下の浜で
ござ
ります。唯今の狂人《きちがい》が、酒に酔って打倒《ぶったお》れておりましたのは……はい、あれは嘉吉と申しまして、私ら秋谷在の、いけずな野郎で
ござ
りましての。
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