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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
その飲んだくれます事、怠ける工合、まともな人間から見ますれば、真《ほん》に正気の沙汰ではござりませなんだが、それでもどうやら人並に、正月はめでたがり、盆は忙しがりまして、別に気が触《ふ》れた奴ではござりません。何時でも村の御祭礼《おまつり》のように、遊ぶが病気《やまい》でござりましたが、この春頃に、何と発心をしましたか、自分が望みで、三浦三崎のさる酒問屋へ、奉公をしたでござります。
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