検索結果詳細
『高野聖』
泉鏡花を読む
(誠に済みませぬがお通しなすつて下さりまし、成たけお午睡の邪魔になりませぬやうに密と通行いたしまする。
御覧の通り杖も棄てました。)と我折れ染々と頼んで額を上げるとざつといふ凄じい音で。
心持余程の大蛇と思つた、三尺、四尺、五尺四方、一丈余、段々と草の動くのが広がつて、傍の溪へ一文字に颯と靡いた、果は峰も山も一斉に揺いだ、恐毛を震つて立竦むと涼しさが身に染みて、気が付くと山颪よ。
127/622
128/622
129/622
[Index]