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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 御覧の通り杖も棄てました。)と我折れ染々と頼んで額を上げるとざつといふ凄じい音で。
 心持余程の大と思つた、三尺、四尺、五尺四方、一丈余、段々と草の動くのが広がつて、傍の溪へ一文字に颯と靡いた、果は峰も山も一斉に揺いだ、恐毛を震つて立竦むと涼しさが身に染みて、気が付くと山颪よ。

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