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『日本橋』 青空文庫
一度も夢で泣いたのは……」
天井を高く仰いで云った、学士の瞳は水のごとし。
「どこか……私の寄宿舎の二階と向合う、同じ高さに川が一筋……川が一筋。……で、夢だろう。水はその下を江戸川の(どんどん)ぐらいな流れで通る。向う岸に二階がある。表だけ見えて、欄干が左右へ……真中に榎の大樹があって仕切る、その二階がね、一段低くなって流に臨んで、も一つ高い座敷が裏に有りそうなんだ、夢だからね、お聞き。……いや聞いておくれ。
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