検索結果詳細
『高野聖』
泉鏡花を読む
何しろ山霊感応あつたか、蛇は見えなくなり暑さも凌ぎよくなつたので、気も勇み足も捗取つたが、程なく急に風が冷たくなつた理由を会得することが出来た。
といふのは目の前に大森林があらはれたので。
世の譬にも天生峠は蒼空に雨が降るといふ、人の話にも神代から杣が手を入れぬ森があると聞いたのに、今では余り樹がなさ過ぎた。
131/622
132/622
133/622
[Index]