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 『日本橋』 青空文庫

「はい、それに実は何でござります、……大分年数も経ちました事ゆえ、一時半時では、誰方もお心付の憂慮はござりませんが。……貴女には、何をお秘し申しましょう。私はその、はい、以前はやはりこの土地に住いましたもので。」
「まあ、」
「ええ……忰が相場ごとに掛りまして分散、と申すほど初手からさしたる身上でもござりませぬが、幽には、御覚えがあろうも知れませぬ、……元|数寄屋町の中程の、もし、へへへ、煎餅屋の、はい、その時分からの爺でござりますよ。」

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