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 『薬草取』 青空文庫

 翌朝《あくるあさ》はその小立野から、八坂《はっさか》と言います、八段《やきだ》に黒い滝の落ちるような、真暗《まっくら》な坂を降りて、川端へ出ていた。川は、鈴見《すずみ》という村の入口で、流《ながれ》も急だし、瀬の色も凄《すご》いです。
 橋は、雨や雪に《しら》っちゃけて、長いのが処々《ところどころ》、鱗《うろこ》の落ちた形に中弛《なかだる》みがして、のらのらと架《かか》っているその橋の上に茫然《ぼんやり》と。

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