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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

「半作事だと言ふから、まだ電燈が点かないのだらう。おゝ、二つ巴の紋だな。大星だか由良之助だかで、鼻を衝く、鬱陶しい巴の紋も、此処へ来ると、木曽殿の御寵愛を思出させるから奥床しい。」
 と帯を解きかけると、ちやぶり――といふ――人が居て湯を使ふ気勢がする。此の時、洗面所のの音がハタと留んだ。
 境はためらつた。

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