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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
唯《ト》見ると、房々とある艶やかな黒髪を、耳許白く梳って、櫛巻にすなおに結んだ、
顔
を俯向けに、撫肩の、細く袖を引合わせて、胸を抱いたが、衣紋白く、空色の長襦袢に、朱鷺色の無地の羅《うすもの》を襲ねて、草の葉に露の玉と散った、浅緑の帯、薄き腰、弱々と糸の艶に光を帯びて、乳のあたり、肩のあたり、その明りに、朱鷺色が、浅葱が透き、膚の雪も幽《かすか》に透く。
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