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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 女房は独り機嫌悪く、由緒《よし》なき婦人《をんな》を引入れて、蒲団は汚れ畳は台無し、鶏卵《たまご》の氷のと喰べさせて、一言の礼も聞かず。流れ渡つた洋犬《かめ》でさへ骨一つでちん/\お預《あづけ》はするものを。加之《おまけに》横須賀の探偵とかいふ人は、茶菓子を無銭《ただ》でせしめて去《い》んだ。と苦々しげに呟きて、あら寝《ねむ》たや、と夜着引被《ひつかつ》ぎ、亭主を見送りもせざりける。

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