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『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
私は夢かとも思う。いや、雀の宿の気がする。……あの大漢《おおおとこ》のまる顔に、口許《くちもと》のちょぼんとしたのを思え。卯の毛で胡粉《ごふん》を刷いたような女の膚の、どこか、頤《あぎと》の下あたりに、黒いあざはなかったか、うつむいた島田髷《しまだ》の影のように――
おかしな事は、その時摘んで来たごんごんごまは、いつどうしたか定かには覚えないのに、秋雨《あきさめ》の草に生えて、塀を伝っていたのである。
「どうだい、雀。」
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