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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 私たちには自由自在――どの道浮世に背いた身体《からだ》が、それでは外に願いのある、私の願《がん》の邪魔になります。仮令《よし》それとても、棄身の私、唯最惜《いとおし》さ、可愛さに、気の狂い、心の乱れるに随《まか》せましても、覚悟の上なら私一人、自分の身は厭いはしませぬ。
 厭わぬけれど……明さんがそうすると、私たちと同一《おなじ》ような身の上になりますもの……
 それももう、この頃のお心では、明さんは本望らしい――本望らしい、」

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