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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 貴僧《あなた》。
 そのしい令室《おくがた》が、人に羞じ、世に恥じて、一室処《ひとまどころ》を閉切《とじき》って、自分を暗夜《やみ》に封じ籠めます。
 そして、日が経つに従うて、見もせず聞きもせぬけれど、浮名が立って濡衣着た、その明さんが何となく、慕わしく、懐かしく、果は恋しく、憧憬《あこが》れる。切ない思い、激しい恋は、今、私の心、また明さんの、毬唄聞こうと狂うばかりの、その思いと同一事《おなじこと》。

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