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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 四人の壮佼《わかもの》は、後に残りて、口さへもよう利かれず。早夜は更けて、夏とはいへど、風冷々と身に染みて、戦慄《ぞつ》と寒気《さむけ》のさすほどに、酔《ゑひ》さへ醒めて茫然と金時は破垣《やれがき》に依懸《よりかゝ》り、眠気つきたる身体の重量《おもみ》に、竹はめつきと折れたりけり。そりやこそ出たぞ、と驚き慌て、得右衛門も待ち合へず、命から/゛\遁帰《にげかへ》りぬ。

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