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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「貴僧《あなた》、この事を、唯貴僧《あなた》の胸ばかりに、よくお留め遊ばして、おっしゃってはなりません。これは露ほども明かさずに、今の処、明さんを、よしなに慰めて上げて下さいまし。
 日頃のお苦みに疲れてか、まあ、すやすやとよく寝て、」
 と、するすると寄った、姿が崩れて、ハタと両手を畳につくと、麻の薫が発《はっ》として、肩に萌黄の姿つめたく、薄紅が布目を透いて、

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