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 『天守物語』 泉鏡花を読む

朱の盤 はゝッ。(その白布の包を出し)姫君より、貴女《あなた》様へ、お心入れの土産が此に。申すは、差出がましうござるなれど、これは格別、奥方様の思召《おぼしめ》しにかなひませう。……何と、姫君。(色を伺ふ。)
亀姫 あゝ、お開き。お姉様《あねえさま》の許《とこ》だから、遠慮はない。
夫人 それは/\、お嬉しい。が、お亀様は人が悪い、中は磐梯山の峰の煙か、虚空蔵《こくうざう》の人魂《ひとだま》ではないかい。

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